株式会社安藤・間様(第2回)
安全意識向上、コミュニケーション促進
コミュニケーション活性化、安全行動の見える化、自発的な安全行動促進
ビルダーズポイントが生んだ、良い行動に目を向ける現場づくり
「現場で働く技能者、一人ひとりが主役」の体現にポイント付与が寄与
安藤ハザマでは、全社的な方針として人材や協力会社との関係性を重視しており、「現場で働く一人ひとりが主役」という考えに基づいて現場を運営しています。その取り組みの一環として導入した「ビルダーズポイント」は、安全行動の評価やコミュニケーションの活性化に活用されています。大規模物流施設の建設現場で進む、取り組みと、その効果について話を伺いました。
導入前の課題
「人」を重視する現場づくりの新たな施策を模索
創業153年の旧安藤建設と創業137年の旧ハザマが統合し、長年培った技術と信頼を受け継ぐ、株式会社安藤・間(呼称:安藤ハザマ)。2020年2月に策定した長期ビジョン「安藤ハザマVISION2030」の実現に向けた経営の物差しが「5つの価値創造」です。従来の、1,「お客様価値の創造」2,「株主価値の創造」3,「環境価値の創造」4,「従業員価値の創造」という4つの価値創造に、2026年4月に開始した「中期経営計画2028」からは5,「ビジネスパートナー価値の創造」を加えました。
「これにより、当社はサプライヤーである協力会社の皆さまを、下請けではなく、『共に成長し合える最高のパートナー』として位置づけ、バリューチェーン全体での持続可能性を追求する経営へと舵を切りました」と語るのは、(仮称)葛飾区奥戸物流施設計画 葛飾奥戸出張所 統括所長の小澤 淳氏です。
「本現場で重視しているのは、出張所の職員や協力会社、そして技能者を含めた現場内のコミュニケーションです」と続けます。
「コミュニケーションがうまくいかないと、作業の安全、品質、効率いずれにも悪影響が出ます。そこでリーダー会を頻繁に開催するなど、協力会社間のコミュニケーション促進を図ることで、円滑にコミュニケーションが行える環境をつくり出そうとしています」(小澤氏)
また、従来の安全表彰では、賞品を買いに行くところから準備が始まっていたと、同出張所 副所長の衣笠 仁規氏は話します。
「以前は表彰のたびに、わざわざ商品券を買ってきて用意したり、QUOカードを買って渡したりと、かなり手間がかかっていました。こうした『少額のお金』を手間なく配分する手段が、これまでなかったのです」(衣笠氏)
導入の経緯
「一人ひとりが主役」の現場実現に向け
ビルダーズポイントを導入
このコミュニケーション促進策の一環として本現場で活用されているのが、ビルダーズポイントです。
「ビルダーズポイントの導入は当社の方針でもあり、前回担当した現場でも試行していました。本現場では『現場で働く技能者、一人ひとりが主役』というスローガンのもと、誰一人取り残すことなく働きに対する対価を還元したいという考えから、CCUSタッチ率の向上や技能者の安全意識向上、現場の一体感・モチベーションの向上、技能者同士のコミュニケーション促進もあわせた目的で、着工当初から導入しています」(小澤氏)
ビルダーズポイント運用に関しては、ポイント付与などの事務作業にまつわる現場職員の負担感や、付与対象となる技能者のアプリ導入・登録などの懸念があったと言います。まず事務作業については、負担が一人に集中しないよう、関係者を巻き込んだ付与の仕組みを整えたと衣笠氏は語ります。
「ポイント付与は、現場内業務チャットにビルダーズポイント専用グループを設け、出張所の職員だけでなく、リーダー会に参加する職長にも参加してもらいました。関係者一人ひとりに、毎月付与できるダイレクトポイントの枠を割り当てておき、あらかじめ定めた方針に沿って付与対象者やポイント数をチャットに投稿してもらいます。最終的に集計や確認を行ったうえで、担当の事務職員がポイント付与作業を行う体制です」(衣笠氏)
一方、技能者の方々のアプリ登録については、現場の進捗に合わせて周知の機会を重ねてきたと言います。
「躯体や仕上げなど工程が進むたびに、新たな協力会社が現場入りするのに合わせて何度か説明会を実施してきたほか、新規入場者教育の際にもポイント制度の説明を行っています」(衣笠氏)
説明会にはリバスタも協力し、アプリのインストールや登録の支援のほか、入会キャンペーンを設けることで新規登録を促しました。また、付与されたポイントを使いやすくする環境整備にも気を配っていました。
「もちろん現場に設置する自販機は電子マネー対応のものを選んでいます。ここは規模の大きい現場のため、売店も長期にわたって設置しており、そちらにも電子マネー対応をお願いしました」(衣笠氏)
導入効果
安全指摘が「注意」ではなく「称賛」に変化
安全は、やらされるものから、自分がつくるものへ
本現場でのポイント付与の方針は、「現場でのコミュニケーション促進」という目的を重視して策定されたと衣笠氏は言います。
「ポイント付与においては、特に『若手で頑張っている人たちや一生懸命頑張っている人たち』を重視する方針としました。たとえば安全表彰なら3000ポイント、毎週のリーダー会やパトロールへの参加で100ポイント、安全不備・現場改善提案報告者に100ポイント、5S模範行動に100~1,000ポイントといった形で、個別の付与を手厚くしています。現場で評価に値する行動が認められた個人にも、個別にポイントを用意しました。付与の際には相手の所属企業名や個人名を確認しないといけないので、コミュニケーションのきっかけにもなります」(衣笠氏)
小澤氏は、ポイントを通じたコミュニケーションによって、現場の雰囲気そのものを変えようとしています。
「これまでは、不安全行動を注意するといった『悪いところ』を見てしまいがちでした。これに対しポイントを与えるという動機は、安全行動を評価する『良いところ』を見る意識に変えてくれます。注意されるからやるのではなく、評価されるからやる。そうしたマインドが根づけば、技能者が自ら安全行動を取るようになり、結果として現場の安全が保たれます。手応えは、すでに一部で感じています」(小澤氏)
安全表彰の賞品としてのポイントは、安全行動を見える化する仕組みでもあります。ビルダーズポイントは、良好なコミュニケーションを図るツールとしても機能しているのです。
今後の展望
アプリ登録率のさらなる向上と
ポイント付与の現場間格差の解消に取り組む
コミュニケーションの促進度を明確な指標で測ることは難しいものの、アプリの登録率にはまだ改善の余地があると衣笠氏は言います。
「本現場でも登録率は伸びてきましたが、まだ十分とは言えません。とはいえ、リバスタが我々の要望を受けてメールアドレスでの認証にも対応してくれるなど、機能面の改善も進んでいます。今後は登録率の向上につながっていくはずです」(衣笠氏)
安藤ハザマでは現在、ほぼ全現場でビルダーズポイントの利用が始まっています。今後は、社内でのさらなる定着に向けた取り組みを進めていく方針です。
「現場によって、もらえるポイントの量に差が生じているため、まずはそこを揃えていきたいと考えています。職員が限られる小規模な作業所では付与業務が負担になりやすいので、支店の事務職員が応援するといった施策も検討していきます。そして技能者の方々が『本当にポイントをもらえる、使える』環境を整えることで、現場の良好なコミュニケーションを活性化させたいと考えています。私たちがビルダーズポイントに期待しているのは、単に働きへの対価を配る制度としての役割ではありません。こうしたコミュニケーションの積み重ねを通じて、現場の安全文化そのものを育てていくことです。安全とは、誰かに守らされて保たれるものではなく、技能者一人ひとりの行動が積み重なって、はじめてつくられるものだと考えています。今後もリバスタと協力しながら、より良い現場をつくっていきます」(小澤氏)
※掲載内容は取材当時のものです。
