導入事例

  • #現場規模~100人
  • #DX推進、安全意識向上

現場内で期待される行動に対し、インセンティブとしてポイントを付与
元請職員と技能者間でのコミュニケーション活性化をもたらす

戸田建設株式会社様

事業内容
建設事業、開発事業、不動産事業、発電事業等 ほか
資本金
230億円(2025年3月31日現在)
現場規模
技能者0~100人
導入の目的
DX推進、安全意識向上
導入後の効果
モチベーション向上、コミュニケーション活性化、安全意識向上

かねてよりDXを推進する戸田建設様では、建設現場におけるICTを活用した現場運営の生産性向上に積極的に取り組んでいます。同社では建設現場の魅力向上や担い手確保を目的とした新たな取り組みのひとつとして、2024年に全国より数箇所の現場を選定し、ビルダーズポイントの試験導入を行いました。そのひとつに選定された、神奈川県内の道路改良工事を行う藤沢改良作業所では、2024年7月から約半年間にわたり試行運用を行いました。試行運用では、現場内で期待される行動に対してポイントを付与し、現場内の安全意識の向上や元請職員と技能者間のコミュニケーションの活性化という効果をもたらしました。

導入の経緯

技能者に対する新たなねぎらいの形として
ビルダーズポイントを試行

同社では、各現場での取り組みとして、現場に従事する技能者の方々に対しねぎらいの意を込めて、飲料の提供やBBQなど、親睦を深めるイベントを行う事例があります。作業所長を務める山口氏はこういった従来のねぎらいの形に対して、次のように述べています。
「今と昔では技能者の方々へのねぎらいに対する考え方が徐々に変わってきているように思います。レクリエーションイベントなどについては、必然的に時間的な拘束が生まれます。このため、業務時間内にイベントを開催することによって、本来進めることができていたはずの工事が遅延してしまうなど、工事の進捗に影響がでることも考えられます。私としては、現場を運営する立場として工事の進捗を第一に考え、イベントなどはあまり開催してきませんでした。」

2024年に山口氏が所長を務めた藤沢市の現場は国土交通省の直轄工事であったこともあり、ビルダーズポイントの試行現場として本社から協力依頼があったといいます。山口氏としても新たな取り組みに対して前向きな姿勢であったことから、ビルダーズポイントの試験導入を決定しました。

「新たなサービスを取り入れることに抵抗を感じる現場もあると思います。ただでさえ日々忙しい現場で、新しいサービスを取り入れることでさらに業務が増えてしまうのではないかといった懸念を示す所長も中にはいらっしゃると思います。私としては社内に限らず新たな取り組みに対しての打診があれば、まずはやってみようという気持ちを持っており、新サービスを試行することも業務のひとつと捉えています。これは新たな取り組みによって現場の生産性向上などの良い結果が得られるのではないか、といった期待を持っているからです。」

山口氏は続けてビルダーズポイントによる技能者のモチベーション向上効果について当時の所感を述べました。

「サービス利用者となる技能者の方々のモチベーションが上がることは大変良いことであると思っています。仕事をする人たちのモチベーションは、安全や品質などの重要な部分に大きく影響します。ビルダーズポイントを利用することで、技能者の方々の現場のために頑張ろうとするモチベーションにつながることが期待でき、良いサービスなのではないかと感じました。」

サービス運用と導入効果

ビルダーズポイントによって技能者の自発的な行動を促す
副次効果としてコミュニケーションも円滑に

ビルダーズポイントを試行した同現場では、複数のシーンで技能者へポイントを付与しました。

「ビルダーズポイントの活用方法としては、熱中症対策に関連する活動に対してポイントを付与することが多かったです。熱中症対策は、現場に従事する技能者の命にかかわる重要な取り組みです。以前より、ヘルメットへの熱中症対策装置の取り付けや、腕時計型のバイタルセンサーを装着していただいていましたが、抵抗感がある技能者も多いと聞いています。その理由として、ヘルメットが重くなることや装着の違和感、装置の電池交換や充電の手間などが挙がっています。そこで、ヘルメットへの装置の取り付けやバイタルセンサーの装着に対してポイントを付与することにしました。」

山口氏は技能者が率先してやりたがらない活動や取り組みに対して、ポイントを付与するようになったといいます。こうした内容を例に挙げ、ビルダーズポイントの活用について次のように語ります。

「基本的に、現場を運営する我々が『助かるな』『ありがとう』と感じることをピックアップしてポイントの付与対象としました。例えば、トイレ清掃などがこれにあたりますが、当時は交通誘導員さんが自主的に取り組んでくれていました。これまではお礼を言葉で伝えるくらいしかできませんでしたが、ポイントという目に見える形でお礼の気持ちを伝えることができるようになりました。」

その他、例として挙げた熱中症対策のひとつであるヘルメット装置の取り付けやバイタルセンサーの装着に対してポイントを付与したことで、一定の成果が挙がったといいます。バイタルセンサーの装着率が向上し、安全意識の向上にも多少なりともつながっている、と山口氏は述べます。

トイレ清掃と熱中症対策の例からわかるように、ある取り組みを今まで行っていた人がポイントを得られるようになったことに加え、それまで取り組みを行っていなかった人が新たに取り組んでくれるようになったという、2つの結果を得ることができました。また、同現場ではこれら2つの例のみならず、現場内でのコミュニケーションの活性化についてもビルダーズポイントの効果を感じています。

「技能者の方と話すことがあまり得意ではないタイプの若手職員が、技能者の方々へ業務に必要な話を切り出すためにビルダーズポイントをきっかけにしたり、技能者全員に伝達事項がある際に、ポイントを付与するイベントに集まってもらった機会を活用するなど、現場内コミュニケーションの円滑化に役立てていました。その他にも、作業中に協力会社間で声がけし連携をしている様子など、我々元請の職員が『良い動きだな』と思った場面で技能者へポイント付与することを許可していたので、現場運営上、良い行動をした方に対して柔軟にポイントを付与していました。このように、コミュニケーションのきっかけをつくるツールとしても期待できると思います。」

ビルダーズポイントの今後の活用について

綿密な計画の必要性を感じるとともに
現場内の改善活動などのポイント付与対象の拡大に期待

技能者のモチベーション向上に加え、コミュニケーションの活性化といった思いがけない効果を得た同現場ですが、今後のビルダーズポイントの活用案として複数の案を山口氏は述べています。

「現場をよくするための行動をした技能者が積極的に元請職員へ話をしてくれるようになると良いな、と考えています。例えば、『ごみを片付けておいたよ』とか、『この後の作業の邪魔になるかもしれないから荷物や機材などを動かしておいたよ』といった協力会社間のトラブルを未然に防止するための行動をしてくれた際に、自発的に元請職員に報告してくれるようになると嬉しいですね。現場運営のためになる行動ですので、そういった行動に対してポイントを付与できると理想的であると考えます。ただし、そのためにはポイント付与の頻度やポイント数のバランスが考慮された予算や運用を予め計画しておく必要があります。」

時間外労働の上限規制による影響により、ICT化を含む建設現場の業務効率化が急務として求められる現代ですが、現場運営の効率化や生産性向上といった観点で、山口氏はポイントを付与したいと思う活動について次のように語ります。

「そうした観点においては、協力会社から若手の元請職員を中心に技術的な知識を積極的にインプットしていただけると、元請職員のスキルアップ、発注者への説明能力の向上につながるのではないかと思います。加えて、発注者からの要望でもありますが、技能者が過去に取得した資格については、時間の経過により内容を忘れている可能性があるので、再度講習を受けてもらいたいと考えています。そのような講習への参加や、現場の安全設備に関する提案を元請職員に報告するといった改善活動も、現場運営をより良くするための活動になるので、ポイント付与の対象にできたらよいのではないかと思います。」

今後の展望

現場でのコミュニケーション活性化に手ごたえ
ビルダーズポイントの今後の展開に期待

本社からの協力依頼によりビルダーズポイントを試験導入した同現場ですが、熱中症対策や現場内清掃などの活動を実施した技能者に対するインセンティブの実現にとどまらず、現場内のコミュニケーション活性化にも効果を得られました。こうした効果を実感した山口氏はビルダーズポイントについての所感を以下のように総括します。

「ビルダーズポイントはコミュニケーションのきっかけを作るツールとして、良い効果をもたらしたと感じています。また、他人があまりやりたがらない活動を自ら積極的に取り組んでくれるようになったように感じているので、私個人の意見としては試験導入に協力して良かったと思います。私が直接見聞きしたわけではありませんが、元請職員が技能者の方に対してポイントを付与した際に『これ良いですね!』といった声もあったようですし、目に見えてポイントがたまっていく様子を技能者の方々も楽しんでいたように思います。普段なら面倒だと思うような現場内での取り組みについても『ポイントがもらえるなら、やろうかな』といった具合に、技能者側の行動に変化があったように感じます。」

最後に山口氏はビルダーズポイントの今後についても提言しました。

「多くの現場にビルダーズポイントが広まれば、技能者の方々のモチベーション向上などの効果はより高まるのではないかと思います。サービス導入時は、各現場での元請職員に対する説明に加え、技能者の方々に対してアプリを登録してもらうことや、税の申告義務についての説明などの負担がかかりますので、早い段階で技能者の方々への普及が進めば、現場の負担も減ると思います。また、サービスを利用する場合にはコストの計画が必須になりますが、各現場単位でサービスの導入を判断するとなると、予算的に厳しい現場は積極的な導入は難しくなると思います。ですので、会社としてポイント付与の基準や目安を策定し、それをもとに各現場で適切に運用していくことが大切なのではないかと思います。」

※組織名・役職などの情報は取材当時(2025年2月)のものです。

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